憲法/人権総論

Last-modified: Tue, 03 Nov 2020 02:49:52 JST (1277d)
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人権

人権には、固有性、不可侵性、普遍性という特徴がある。

人権の固有性人権は人であることにより当然に有する権利
人権の不可侵性人権は,原則として公権力により侵されない
人権の普遍性人権は, 人種・性別・身分等の区別によらず、人であることにより当然に享有できる権利

人権の分類

自由権(国家からの自由)

自由権とは, 国家が個人の領域に対して権力的に介入することを排除して、個人の自由な意思決定と活動とを保障する人権。
国家からの自由。
自由権は、精神的自由、経済的自由、人身の自由に分類される。

参政権(国家への自由)

参政権とは 国民の国政に参加する権利です。これは国家への自由といわれ、由権の確保に仕えるもの。
すなわち、国民が自由であるためには、その政治に参加していくことが最も望ましいというところから認められる人権。

参政権の具体例

選挙権(15条)や被選挙権 (立候補の自由) が代表。
憲法改正の国民投票 (96 条) や、最高裁判所裁判官の国民審査(97条2項)も含む。

受益権

受益権は、国に対して一定の作為を要求する権利。
裁判を受ける権利、請願権、国家賠償請求権、刑事補償請求権等
裁判を受ける権利等は、古くから自由権と相伴って保障されてきたもの。

人権享有主体性

人権は、人が人である以上、人種、性別、社会的身分等の区別 に関係なく当然に享有できる普遍的な権利。
憲法第3章は 「国民の権利及び義務」 と題して、文言上は、権利の主体を「国民」に限定している。
ここにいう国民とは、形式的には, 日本国籍を有する自然人を指す。
「国民」にあたらない法人、外国人に関して、人権を享有する主体となり得るかが問題となる。

法人の人権享有主体性

判例は、性質上可能な限り、法人にも人権は保障されるとしてる。

判例八幡製鉄事件(最大判昭45・6・24)
争点法人に人権享有主体性はみとめらるか。
会社に政治活動をする自由は認められるか。(政治献金)
結論認められる
判旨憲法第3章に定める国民の権利及び義務の各条項は、性質上可能な限り、内国の法人にも適用されるものと解すべきであるから、会社は、自然人たる国民と同様、国や政党の特定の政策を支持、推進し又は反対するなどの政治的行為をなす自由を有するのである。 政治資金の寄附もまさにその自由の一環であ り、会社によってなされた場合、政治の動向に影響を与えることが あったとしても、自然人たる国民による寄附と別異に扱うべき憲法上の要請があるものではない。


判例南九州税理士会事件(最判平8・3・19)
争点政治団体へ政治献金を行うことは、強制加入である税理士会の目的の範囲の行為か。
結論目的の範囲外の行為である。
判旨税理士会が政党など(政治資金)規正法上の政治団体に金員の寄付をすることは、たとえ税理士にかかる法令の制定改廃に関する政治的要求を実現するためのものであっても(税理士) 法49条2項で定められた税理士会の目的の範囲外の行為であり、右寄付をするために会員から特別会費を徴収する旨の決議は無効であると解すべきである。


判例
争点
結論
判旨